仮定法過去〜新たなる闘いへの序章(2.
2008/03/22 Sat [Edit]
「・・・市民の、市民による、市民の為の民主共和制・・、か」
帝国首都星オーディンに在る高級仕官クラブ『海鷲 』で、ぽつりと呟いたのは、銀河帝国軍宇宙艦隊司令長官ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥である。
帝国軍人として、これ以上望み得るものは無い地位にまで登りつめた若い元帥は、帝国歴490年から新帝国歴1年へと年号を改めた歴史的なこの年、31歳になる。
納まりの悪い蜂蜜色の髪より、活力に富んだグレーの瞳の方が、より印象的な青年元帥は、思いも掛けなかった時代の流れに、驚きはしたものの、意外なことに、不快ではなかった。
何はともあれ、これでもう、大規模な戦争は回避されるのだ。
無論、対同盟と、これから講和を結ぶにせよ、これから融和を図るにせよ、それは、新たに政権を樹立したヤン・ウェンリーと、そのヤンを同盟の首班として認めた皇帝 ラインハルトの、この時代が生んだ二人の天才に委ねられることで、ミッターマイヤーには、口を差し挟む権限は無く、また、口を挟む気さえ、無い。
今や、ひとつの銀河宇宙を制圧し得る帝国軍を統べる宇宙艦隊総司令長官でありながら、ミッターマイヤーは、自身、一介の軍人にしか過ぎないと思っており、また、一介の軍人でありたいと、望んでもいるのである。そして、軍人である以上、政治に口を挟む権限は無い。
だが、例え権限は無くとも、帝国軍実働部隊の全権限を持つ年若い元帥は、この先に、再び大規模な戦乱の時代が待っているとは思ってはいなかった。
皇帝 ラインハルトが、皇帝としての権限を正当に行使し、ヤン・ウェンリーが実効ある首班として立てば、自ずと戦火は遠のく。
断定出来るのかと問われれば、首肯は出来ない。
だが、今や巨大な軍事力を掌中とする若き元帥は、理念や理屈ではなく、感覚として、あるいは直観として、そう思うのだ。
ウォルフガング・ミッターマイヤーは、後に、「帝国の誇る偉大な良心」として語られ、明朗闊達な性質と共に、柔軟な思考力の持ち主であり、その見識は平衡感覚に富んでいた。
「共和主義、ですか? 私にはよく理解 りませんが・・・。身分格差の無い、万民が平等な社会制度を指すのでしょう?」
ラインハルトの幕僚の中で最年少の上級大将ナイトハルト・ミュラーは、この年、28になる。
砂色の髪と同じ色の瞳は、不可解さと同量の、おそらくは未知のものへの憧憬も在ったかもしれない。あるいは、ヤン・ウェンリーという、帝国軍人には、些か肥大して巨大化した当代の異才への、一種畏敬にも似た感情の作用もあったろうが、いずれ、好奇心、冒険心は、若さの特権というものだ。
だが、そんな若さ故の好奇心の灯に、その水は、冷ややかに過ぎる程の冷たさでもって浴びせ掛けられた。
「万民が平等? ふん。そんな社会など、在ろうはずが無いさ」
オスカー・フォン・ロイエンタール元帥であり、銀河帝国軍統帥本部長である。
新たなる闘いへの序章(3.へ続く
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仮定法過去「VARIATION2」 52頁 1998年5月3日 初出
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帝国首都星オーディンに在る高級仕官クラブ『
帝国軍人として、これ以上望み得るものは無い地位にまで登りつめた若い元帥は、帝国歴490年から新帝国歴1年へと年号を改めた歴史的なこの年、31歳になる。
納まりの悪い蜂蜜色の髪より、活力に富んだグレーの瞳の方が、より印象的な青年元帥は、思いも掛けなかった時代の流れに、驚きはしたものの、意外なことに、不快ではなかった。
何はともあれ、これでもう、大規模な戦争は回避されるのだ。
無論、対同盟と、これから講和を結ぶにせよ、これから融和を図るにせよ、それは、新たに政権を樹立したヤン・ウェンリーと、そのヤンを同盟の首班として認めた
今や、ひとつの銀河宇宙を制圧し得る帝国軍を統べる宇宙艦隊総司令長官でありながら、ミッターマイヤーは、自身、一介の軍人にしか過ぎないと思っており、また、一介の軍人でありたいと、望んでもいるのである。そして、軍人である以上、政治に口を挟む権限は無い。
だが、例え権限は無くとも、帝国軍実働部隊の全権限を持つ年若い元帥は、この先に、再び大規模な戦乱の時代が待っているとは思ってはいなかった。
断定出来るのかと問われれば、首肯は出来ない。
だが、今や巨大な軍事力を掌中とする若き元帥は、理念や理屈ではなく、感覚として、あるいは直観として、そう思うのだ。
ウォルフガング・ミッターマイヤーは、後に、「帝国の誇る偉大な良心」として語られ、明朗闊達な性質と共に、柔軟な思考力の持ち主であり、その見識は平衡感覚に富んでいた。
「共和主義、ですか? 私にはよく
ラインハルトの幕僚の中で最年少の上級大将ナイトハルト・ミュラーは、この年、28になる。
砂色の髪と同じ色の瞳は、不可解さと同量の、おそらくは未知のものへの憧憬も在ったかもしれない。あるいは、ヤン・ウェンリーという、帝国軍人には、些か肥大して巨大化した当代の異才への、一種畏敬にも似た感情の作用もあったろうが、いずれ、好奇心、冒険心は、若さの特権というものだ。
だが、そんな若さ故の好奇心の灯に、その水は、冷ややかに過ぎる程の冷たさでもって浴びせ掛けられた。
「万民が平等? ふん。そんな社会など、在ろうはずが無いさ」
オスカー・フォン・ロイエンタール元帥であり、銀河帝国軍統帥本部長である。
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仮定法過去「VARIATION2」 52頁 1998年5月3日 初出
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Comments
198日○総裁が決まらないのは…
399実は○波さんが、これで美女と遊びまくってるのが理由らしい(笑)
そう言う俺も常連なんだけどな(笑)
まぁ騙されたと思って1回試してみろよ!マジですげぇから・・・
http://w-flog.net/bb/
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